2020年9月議会 代表質問②社会的に弱い立場におかれている方々に寄り添うコロナ対策をもとめて

つぎに、社会的に弱い立場におかれている方々に寄り添うコロナ対策をもとめて伺います。

国連は7月に、『持続可能な開発目標SDGs報告2020』を発表しましたが、その中でも、新型コロナウィルスのパンデミック(世界的大流行)が、SDGsの前進を数十年後退させ、特に貧しい人々、子どもや女性が甚大な影響を受けていると報告しています。 

また、極度の貧困に陥る人は世界で約7100万人と、1998年以来の増加となっています。そして、世界の労働者の半数約16億人が最初の1ヶ月で60%の所得減になっていることや、医療や予防接種が混乱し、5歳未満の幼児の死者が十万人単位で増えていること、妊産婦の死者が数万人単位で増える恐れがあること、家庭内暴力の急増、学校閉鎖で全世界の学生の90%が通学できなくなり、3億7千万人を超える子どもが給食を食べられなくなり、児童労働や児童婚のリスクも高まるとの見解や、気候変動が予想を上回る速さで進んでいることなども報告されました。

国連は、今後のさらなる危機にそなえて、鍵を握るSDGsへの一致団結した対応を各国に求めました。

外出制限によりDVが3割以上増加したフランスでは、被害から逃れた人のために計2万泊分のホテルの部屋購入を発表し、外出制限下でも営業している食料品店周辺に臨時の相談窓口を設置しました。

ユニセフも、DVや児童虐待の深刻化や性犯罪や性搾取に巻き込まれる危険などを指摘し、日本政府に、新型コロナ感染症への対策を計画するにあたっては、弱い立場に置かれた少女や子どもの特有のリスクを考慮する必要を呼びかけました。

しかし、日本では、本来は個人単位で救済するべき緊急経済対策としての臨時給付金、一律10万円給付の受給権者を「世帯主」としたために、DV被害を受け家を出ている方などで住民票を移さないままでいる配偶者や子どもは援助が受け取れない可能性があるといった問題や、そもそもなぜ「世帯主」に支給するとしたのかといったジェンダーの問題など、批判が噴出しました。

私も、こうした困難を抱えた方からのご相談を受けました。

今後、DVや児童虐待被害者等の支援・救済のためにも、緊急経済対策としての給付金支給等にあたっては、個人の尊重と両性の平等を定める日本国憲法にのっとって個人単位で支給をするよう要望していただきたいと思いますがいかがですか。

少なくとも、住民票上の世帯主でなくても、児童相談所や警察、配偶者暴力相談センター、自治体の男女共同参画推進センターの相談窓口や民間団体などが相談を受けている人に対して、個人への給付措置をとるよう国に強く求める必要があると考えますがいかがですか。本市では、個別に丁寧な対応もしてくださったとお聞きしていますが、市の見解をお聞かせください。

「新しい生活様式」という言葉のもと、新たな自粛生活と自己責任を求められ、先行きが見えないなか、第1波の際の市の対応について振り返り、社会的に弱い立場に置かれている人々の人権を守る視点が徹底できたか検証し、今後にそなえた支援の充実につなげる必要があると考えます。

私たち日本共産党議員団では、繰り返しコロナ対策の緊急要望をおこなってきましたが、最初に要望した「コロナに関する総合相談窓口」を市役所1階に設置していただき、この間、相談活動にあたっていただいたことと思います。

そこで、この間の相談件数と分野別の相談内容について教えてください。また、相談体制および民間の相談窓口も含めた連携機関各課との問題共有・解決に向けた協力体制の現状と、見えてきた課題について見解をお聞かせください。

 コロナ禍のもと、DVや児童虐待などの被害者は学校の休校・自粛生活により社会から見えない存在となり、潜在化・深刻化したことが問題視されましたが、こうした事態を回避するためにも、DV被害者や児童虐待相談のためのすべての相談窓口の運営を、緊急時にも継続すること、相談・支援体制を強化することが重要と考えますが、現状と課題についてお聞かせください。

DV・児童虐待相談は、外出制限時にも行くことができる食料品店や薬局などに臨時の相談窓口を設置するなど、積極的な対応を行うことも考えておく必要があると思いますが、いかがですか。また、相談のための外出は自粛要請の対象外であることを明確に発信することも合わせて必要と考えますが、いかがでしょうか。

民間支援団体が面談や相談のために利用している施設がコロナにより閉鎖・制限され、活動に困難が生まれている例も全国では起きているとお聞きしました。

施設の使用停止の要請が行われた場合でも公共施設等を利用した、緊急の相談や支援が行えるよう対応することが今後求められると思いますが、見解をお聞かせください。

DVや虐待だけでなく、子育て中の悩みをどこに相談して良いかわからないといった悲痛な声も届き始めました。それは、「長かった保育施設の休園で、子どもが園に行きたがらなくなった」「園長先生ともほとんど会った事がなく、コロナ対策で入り口のみでの子どもの引き渡しとなっているため、先生ともコミュニケーションがとれず、子どもの状態を相談できない」といった悩みです。

大阪府の心の電話相談は、妊娠中の方と赤ちゃんを育てている方が対象で、行き場のない想いを抱えている方は実はかなりいらっしゃるのではないか、深刻な問題に発展する可能性もあるのではと危惧しています。

子どもと保護者の心のケアについての現状と課題について、見解をお聞かせください。また、市の子育て分野の相談員、教育相談員等とオンラインも活用し対面相談できるサービスを開始してはどうかと考えますが、いかがですか。

つぎに、高齢者および障がい者の方への支援充実を求めて伺います。

介護事業所や障害児者を支援する現場では、「3密」が避けられません。しかし、マスクや消毒液、防護服などが圧倒的に不足しています。感染リスクが高い中で、細心の注意を払いながら職員の方々は業務にあたっておられます。施設には感染すると重症化しやすい人も多く、入所施設やグループホームで感染者が一人でも出れば、集団感染を引き起こしかねません。  

先にも述べましたが、入所者と職員全員にPCR検査ができる体制が早急に求められています。

また、介護事業所や障がい福祉事業所に対し、この間、市としてマスクや消毒液の配布を行っていただきましたが、第2波の中、改めて、福祉・介護事業所の困りごとの聴き取りを行うとともに、各施設および障がい児・者家族、高齢者の方へ、マスクや消毒液等の必要な衛生資材が十分行き渡るよう、措置を講じていただきたいと考えますがいかがですか。

また、高齢者へのマスク配布については、75歳以上の方がいる世帯に10枚の配布をされましたが、今年の4月28日以降に75歳になる方は対象から外されています。今年度中に誕生日を迎えて75歳になる方も対象とするよう求めますが、市の見解をお聞かせください。

 介護事業所についての問題では、政府が新型コロナウイルス感染症拡大による事業所の減収対策として出した通知が問題になっています。

これは、厚生労働省が介護保険のデイサービスやショートステイ事業者に介護報酬の上乗せを認める「特例措置」を通知したもので、 この「特例措置」により、事業者が利用者から「事前の同意」を得ることを条件に、例えば通所系サービスでは、提供サービス時間より2段階高い介護報酬を月4回まで算定できます。介護報酬の上乗せは、所得による1~3割の利用料負担の増額につながります。限度額を超えれば、超えた分は利用者の10割負担にもなります。

この特例に対して、「本来国が補償すべきコロナ対応の責任を利用者に押し付けている矛盾ある制度だ」という声や、「事業所の減収補てんは欠かせないが、利用者に負担増を押し付けることはできない」、「根本的に道理のない制度で利用者に理解してもらえない」と各地で通知の撤回と国の責任ある財源措置を求める声があがっています。

この問題で、長野県飯田市は、利用者の負担を増やすことなく介護事業者を支援するため、「特例措置」を算定しない事業者に、介護報酬の上乗せ額に相当する補助金を交付することを決めました。

市内の通所系サービスとショートステイサービス計87事業所に、総額8100万円を補助するもので、国の「特例措置」を算定していない事業所の、7月から来年3月分のサービス提供分が対象です。

飯田市は、補助金の概要説明資料のなかで、国の「特例措置」の「課題」として、「サービス事業者から利用者に対して通常とは異なる介護報酬を請求する明確な根拠を示すことができない」「利用者の同意が前提であるため、同意を得られた利用者と得られない利用者とで不公平が生じる場合がある」と指摘しています。

飯田市健康福祉部・長寿支援課長は、しんぶん赤旗の取材に対し、『「特例措置」を積極的に算定できない事業者もあると聞き、交付金を出す必要があると考えました。市民からも「受けていないサービスの利用料を払うのは納得できない」と苦情が寄せられていた』と話しています。

本市でも、富田林社会保障推進協議会がおこなった利用者への聴き取りによると、「200円から800円の負担になるという説明があった」、「説明があり、仕方なく押印した」、「おかしいと思ったが額が少額なので了解した」、「少額とは言っても、限度額を超えれば、超えた分は10割負担にもなり、生活がさらに苦しくなる」などの声が出ています。

コロナ禍で介護事業者は赤字に苦しんでいますが、利用者に筋違いの負担を押し付けることについて、心を痛めている事業者さんが多くいらっしゃいます。

事業所への介護報酬上乗せは、本来は国が財政負担をして責任もって行うべきであるにもかかわらず、事業者から利用者に負担を求めさせるというのは、「デイサービスでみてもらえなくなったら大変」という家族の心情につけこんだ、あまりにも卑劣な手段だと言わざるをえず、許せません。

国に対して、利用料負担増を利用者に求めるのではなく、国の責任で介護事業所等の減収補償をする財源措置を強く要望していただきたいと考えますが、見解をお聞かせください。

また、飯田市のように画期的な補助金交付をおこない、市内の介護事業所および高齢者の方への支援をすることについて、市として検討していただきたいと考えますがいかがですか。

つぎに、障害を抱える方への支援についてですが、施設で暮らす障がい児者の中には、感染予防のためだけでなく職員の負担を減らすために、家族の元に戻る人もいるとのことです。支えているご家族の多くは高齢で、身体的・精神的な負担は重くなります。一時帰宅している間も自宅で必要な支援を受けられるような措置が必要です。

また、一方で、入所者の帰宅により、施設運営事業者の運営費が大幅に減少する事例も出ています。日々の利用者数に応じた日割り計算によって、公費による報酬が支払われる利用契約制度という仕組みがあるためです。事業者は普段でもぎりぎりの報酬による運営を余儀なくされており、消毒液などの経費負担が重くなっている上、感染予防で入所者が一時帰宅すると収入が減ってしまうという事態は避けなければなりません。

厚生労働省から出された障害福祉サービスなどの取り扱いに関する通達で、障害者福祉サービス等事業所で新型コロナウイルスへの対応で利用者が通所等を行わない場合に、利用者の居宅等において健康管理や相談支援などできる限りの支援を行なったと市町村が認める場合は、報酬の対象とできるとしており、国・府を通じて市町村と事業所に通知されています。しかし、「市町村が認める場合」に限っているため、自治体によって対応が異なっています。

本市では具体的にどのような場合に報酬の対象としていますか。事業所に対して丁寧かつ柔軟な対応を行っていただきたいと考えますが、この間の市としての対応と今後の課題についてもお聞かせください。

障がい児が利用する放課後等デイサービス事業所の多くも、財政的な困難を抱えています。ここでも報酬が不安定な利用契約制度が背景にあります。コロナ禍で利用を控える障がい児も少なくありません。障がい児の大切な居場所を守る財政措置、コロナへの対応をした事業所や入所施設への報酬による手当て、職員への特別手当の創設が必要です。

国の責任で、障がい者福祉サービス等事業所や放課後等デイサービス事業所などの障がい者福祉サービスが安定して運営できるよう財政支援を求める必要がありますが、本市から国への要望状況をお聞かせください。

コロナ危機は、障害福祉事業所の運営基盤の脆弱さをはじめ、日本の障害者施策の弱点を浮き彫りにしました。障害者権利条約は、障がい者はどこで誰と生活するかを選択でき、最高水準の健康を享受する権利を掲げています。日本が権利条約を批准してから初の国連・障害者権利委員会による審査が予定されています。障がい児者と家族、支援者のいのちと健康を守るためにも、障害者権利条約が活きる政策への転換こそが重要です。

本市の障がい者への支援についても、伺います。

聴覚障がい者、難聴者に対する新型コロナ感染症に係る情報提供について、マスクで口元が隠れていることによる弊害など、様々な点に配慮が必要ですが、手話と見やすい字幕付きの映像による広報などの対策が必要と考えますが、見解をお聞かせください。

視覚障がい者の方に向けた新型コロナ感染症対策の広報資料は、点字、大活字、音声版のものを作成し、わかりやすく周知することが求められますが、いかがでしょうか。この間の取組みについてもお聞かせください。

また、障がい者給付金が、今年で打ち切りになるとの通知が給付対象者に送付されたと市民の方から数件ご相談を受けました。担当課に確認したところ、毎年夏に給付してきた障がい者給付金を、今年度で打ち切るとのことでした。

障がい者の方やそのご家族から、「なぜいま給付打ち切りなのかとショックを受けた」と悲痛な声があがっています。

この給付金は、身体障害者手帳、精神障害者福祉保健手帳、療育手帳をお持ちの方に最大1万円を支給するもので、毎年皆さん楽しみにしておられ、行政が自分達に心を寄せてくれていることも感じられたとおっしゃっています。

新型コロナで大変な時期でもある今、障がい者給付金の廃止というような冷たい切り捨てではなく、今こそ障がい者の方々に寄り添う施策の充実がもとめられていますが、市長の見解をお聞かせください。 

 

答弁

 

【2問目】 

障がい者給付金の廃止について、再質問させていただきます。

ご答弁で、制度を廃止する理由として、「国の法律整備等により障がい福祉サービスや障害児通所サービス等の障がい福祉施策の推進が図られるとともに、本市において、様々な障がい福祉施策の充実に努めてきた」ということを挙げられていましたが、どのような施策の推進・充実がされてきたのか、教えてください。 

 

答弁

 

【要望】

要望いたします。この障害者給付金は、市内在住の全ての障がい者の方に行き届く制度という点でも、市として、障がい者の方々に対するあたたかい姿勢を示す大切な制度だと私たちは考えていました。様々な障がい福祉施策の充実といっても、相談体制の充実は給付金とは別に当然市として充実するべきことです。吉村市長になってからの、このような弱者切り捨てとも思える制度廃止をみるにつけ、今後、様々な福祉が切り捨てられるのではないかとの懸念から再質問させていただきました。

給付金廃止について改めて見直していただくとともに、当事者の想いに寄り添う施策展開を求めておきます。

新型コロナ関連の支援策の多くは、コロナで収入が減った方に対するものです。しかし、もともと収入が少ない障がい者の方や高齢者の方は受けられる支援がない、といったご相談を受けることがよくあります。

休業などにより収入減少した方ではなくても、誰もが影響を受け、厳しい局面にたたされている今、少なくとも、社会的に弱い立場におかれている声をあげにくい方々に対し、新たな負担増に繋がる制度や支援の打ち切りといったことはやめるべきと考えます。

相談体制については、市として、総合相談窓口を開設していただき、様々な相談にあたられてきたことや、家庭内別居も含めたDV・児童虐待被害者等の方への特別定額給付金の支給に関する個別の対応などの配慮について評価しています。今後も継続していくとのことですので、更なる相談体制の充実をよろしくお願いいたします。

介護事業所の利用者負担増については、事業者への減収補填分を利用者に責任転嫁する、という国の方針を改めさせ、きちんと事業所に財政補償をすることを国に強く要望していただくとともに、独自支援をおこなっている飯田市の例も参考に、市としての対応を求めておきます。

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